集合写真は、学校行事、スポーツチーム、職場、お葬式などさまざまな場面で撮られる大切な記録です。
しかし、実際に「集合写真を撮ってください」とお願いされると、焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。被写体の人数が増えるほど、構図・ピント・露出・ポーズなど、注意すべき点も格段に増えます。
この記事では、集合写真の「サイズ」や「種類」「ポーズ」から「撮影設定」「欠席者の対応」まで、実際の現場での知識を交えて詳しくご紹介します。
集合写真が難しい理由と撮影前の準備
集合写真が難しい最大の理由は、多人数を1枚にきれいに収めるという目的にあります。
例えば…
- 一人でも目をつぶっていたら撮り直し
- バラバラな姿勢や向きではまとまりがない
- ピントが一部しか合っていない
- 順光・逆光などの光のムラ
- 構図がアンバランスになりやすい
これらを避けるには、事前準備と流れの把握、そして何よりも実は経験が大切です。
慣れているプロでも必ずチェックする撮影前のポイント
- 人数を確認し、どのような並びがよいか検討(1列・2列・段差利用など)
- 会場の広さ、背景の整理
- 日差しの方向、光の質(室内照明/自然光)を確認
- 欠席者がいるかの確認

集合写真の撮り方|構図・ポーズ・撮影設定のコツ
基本の構図と立ち位置
集合写真では、バランスの良い配置が重要です。以下のルールを覚えておきましょう。
基本構図の作り方
経験豊富な集合写真の専門のカメラマンであれば、ほぼ皆さんやっている方法があります。
まず先に一般的な構図は…
- 中央に重要人物(主役)を配置:校長先生・社長・新郎新婦など
- 左右対称を意識:人数の分布を左右均等に
- 段差を活かす:椅子・台・階段を使い、全員の顔が見えるように
- 背の高い人は後列へ:前列と後列のバランスも大切
- 視線を中央に集めるよう声掛けを
以上は、ネットをググると書いている、ごく一般的な考え方ですが、これは間違いではありませんが、これは単に事前準備。
構図の作り方は、並んでいる人たちを整えるだけでは不十分なんです。と私は考えています。
では何が足りないかというと、カメラマンとしての自分がいる位置にあります。

図の写真は、カメラマンが一段くらい高い台に乗っています。
これは、並んでいる人よりも低い位置にあると、下から見上げたように写真になるから。さらに、見上げたような写真になると、上の段の人が1つ前の列の人によって死角が増えてしまいます。
集合写真は、いくらか見下ろした感じに撮るのがベストなんです。

そしてまた、並んでいる人に近づきすぎると、赤線の距離と、緑線の距離の差が大きくなると、ピントが甘くなる場合があります。
どういうことかというと、カメラがもっと並んでいる人に近づくと、緑よりも赤の方が遠くになる。緑にピントを合わせても赤のピントは合わなくなります。なので、三角形スタイルよりも、もう少し離れた二等辺三角形がベストなんです。
また、海外のプロ写真家では「三角構図で視線誘導」「高めアングル撮影で全員をクリアに映す」といった工夫もよく見られ、構図の幅を広げるヒントになります。
ただ、どうしても後ろに下がれないとか、どうしても人が横に広がってしまう場合、両脇の人を少しだけ前に出して、湾曲させる方法もあります。湾曲させて、なるべく中央の人と同じに近い距離の並びをさせる、これがベストです。
並んでいる人と、カメラとの距離をなるべく均等に近い方法で並べる、これが最も効果的なベストと考えています。
よく、f値を高く絞って…、という方もいますが、間違いではありません。ただ、撮りたい方法や設定で撮れなくなる…、のが私の考え方です。
集合写真の種類とシーンによって変わる構図と雰囲気
スポーツチーム(例:野球のメンバー)
ユニフォームを着たまま整列。グラウンドの背景を活かすのがポイント。中央に監督やキャプテンを配置するとバランス良くなります。
入学・卒業式
桜の木や校舎を背景にすることが多く、フォーマルな服装に合わせた柔らかな構図が好まれます。教員を中央、子どもたちは左右に整列が基本。
お葬式
黒の礼服での整列写真。遺影を中心に配置することが多く、非常にフォーマルな構成。表情も厳粛であるべきで、事前に全体の心構えを共有することが重要です。
たまに、故人が生前中に「笑顔で見送ってね」と言われたので、笑顔で撮っていいですか?…と、聞かれたことがあります。ご遺族がokであれば特に問題もありませんが、中にはそれでも非常識、という方もいらっしゃいます。このような場合は、喪主様に仕切ってもらい、「故人の希望です、笑顔でお願いします」と言ってもらうのが一番。過去にも数回経験ありました。

集合写真ポーズや掛け声は統一感
- 手を前で組む、または横に下ろす
- 背の高さ順に並ぶ
- 足の位置を揃える(斜めに立たない)
集合写真は全体の統一感が何よりも大切。特に子どもたちは動きやすいため、撮影前に「手はお膝の上だよ~」と伝えるだけで印象が大きく変わりますので、試してみてください。
ただ、これは慣れている人が行うもので、初心者の方は少々無理があると思います。知り合い同士なら和気あいあいとふざけながら撮れるのかもしれません。
どういうことかというと、
プロのカメラマンにも引き出せない笑顔があるから。これは、私自身が未熟な部分もありますが、撮っていると感覚で伝わるものがあります。それは、撮っている私に協力している、ということ。これは本当にありがたいことで、感謝に堪えません。
仕事で撮るのであれば、なかなかそういう訳にもいきません。ふざけて視線を外したり、下を見たり、変な顔をする人もいます。
色々試した結果、ダントツで効果が体感できた方法がありますので、下のブログをご覧ください。
集合写真サイズはプリントや表示に合わせた選び方をする
集合写真のサイズは目的によって変わります。
まず下記の表は、一般的な写真サイズです。弊社の新卒カメラマンの話を聞くと、専門の学校に行くと下記の表のようなことを勉強するようです。
ですが、実際に現場に行って、並んでもらって、撮って、写真をプリントする際、教科書通りにいかないのが現実です。
| 写真サイズ | 一般的な対応人数 | 一般的な用途例 |
|---|---|---|
| L判(89×127mm) | ~10人 | プリント配布用 |
| 2L判(127×178mm) | ~20人 | 卒業アルバム、一般配布 |
| 六切(203×254mm) | ~40人 | 学校写真、額装 |
| 四切(254×305mm) | ~70人 | 式典など大規模写真 |
| A3(297×420mm) | 100人以上 | 特大ポスター、記念撮影 |
本来理想な並ばせ方は、並んだ人の全体のバランスできれいに撮ることが目的です。
時には身長の低い人と高い人に入れ替わってもらったりするんですが、特に学校関係だと、男女に分かれたり、名簿順に並んだりと様々です。身長差に関しては、背の高い人の後ろに低い子がいたら…
その時はその部分だけ間隔を広めにとるのが賢明ではないでしょうか。
また、上記の表ので覚えてしまうと、左右に広がりすぎた場合、写真の天地が無駄に空きすぎてしまいます。そのようなときは…
| 2Lワイド(2LW:約127×216mm) 横長構図に最適 |
例えば、2L判(127×178mm)の場合は、2LW判(127×216mm)というサイズを使います。写真のサイズを少し長めのワイドにすることで、少し拡大できます。その分人も大きくなります。
長年撮っていますが、20~30人くらいであれば最も多いのが2LWですね。
プリントサイズに関してはこちらの記事も最高になります。
集合写真にはRAW撮影がおすすめな理由|露出調整が安心。そのメリットとは?
集合写真を確実に仕上げたい場合、RAW形式での撮影をおすすめします。
なぜRAWが便利なのか?
RAWとは、カメラが撮影したセンサー情報をそのままの状態で保存する画像形式です。
よく私たちはRAWデータとか、生のデータ、と言っています。
JPEGと比べてファイルサイズは大きくなりますが、その分「あとからの調整の自由度」が格段に上がります。
特に集合写真で役立つ理由
- 露出の微調整がしやすい:屋外での撮影や逆光気味の構図など、光の条件が難しいときでも安心
- ホワイトバランスを自由に変更できる:室内の照明や屋外の曇り空など、色温度のズレを後から正確に修正可能
- シャドウ・ハイライトの回復ができる:顔が影になった部分や、明るく飛びがちな空のディテールを調整できる
- 肌の色や背景の色味を整えやすい:全員の肌色が自然になるように仕上げられる
通常は、撮影前にホワイトバランス調整、ということをするんですが、RAWで撮ると後からできます。1コマ1コマ確認しながら思ったように調整できます。
JPEGと併用もOK
RAW撮影は編集前提ですが、カメラによってはRAW+JPEGの同時保存もできます。JPEGで素早く確認し、必要なものだけRAW現像する、という使い分けも便利です。
経験上、「とりあえずRAWで撮っておく」という習慣を身につけると、後からの調整が格段に楽になり、大事な集合写真を失敗から救ってくれることも少なくありません。
集合写真の撮影設定の成功のカギはカメラ設定
- 絞り値:F5.6~F8 状況によってはF11とか
- ISO:400や800
- シャッタースピード:1/60が多い 1/125なども間違いではありません
- 焦点距離:35〜70mmくらいのレンズ(人数にもよりますが、引いて近くに行くのは間違いと考えています。先に書いた二等辺三角形を思い出してください。)
また、三脚の使用も集合写真では欠かせません。自信がある場合は別ですが、特に仕事で他の方を撮るのであれば、あまり体裁は良くありません。
複数カット撮影し、まばたきやブレを避けましょう。
集合写真の欠席者は合成が良いか? 後日撮影が良いか?
全員揃わないこともあります。その場合の対応方法は主に以下の2つです。
合成する
背景と立ち位置をあらかじめ確保し、後日撮影した写真をPhotoshopなどで合成する方法。自然に仕上げるには照明や角度に注意が必要です。
また、依頼主が良ければ、上の隅に楕円で入れる方法もあります。
後日、別撮影
写真に欠席者用の余白を作っておき、後日その部分に別途撮影。合成なしで配置できるため、違和感がありません。ただし、依頼主と話し合って決めるのがベストです。
欠席者がいる場合の工夫(集合写真 欠席者)
学校やイベントの集合写真では、当日欠席者が出ることもあります。その場合、
- 後日、同じ条件(衣装・背景・光)で別撮影
- Photoshop等で合成(バレにくくするには背景が単純な方が良い)
一昔前であれば、「この子、居なかったのに、不自然…」などがありましたが、現在は逆に修正は普通のことになっています。 - 右端・左端に空きスペースを作っておく(後から追加しやすい)
顔をぼかしたサンプルを見せると、事前に「このように合成可能です」と説明しやすくなります。
集合写真100人は撮影の工夫が必要?
30人撮影するのと、100人撮影するのとでは、考え方は同じですが、人も群れになると、何かしらのパワーが出てきますので、そのパワーに負けないくらい、カメラマンもパワーが必要になります。
100人規模の撮影になると、以下の工夫が必要になります。
- 段差を使う(階段やひな壇)
- とにかく体を重ねて中央に詰めてもらう(あまりしつこく言うのはダメです)
- マイクや大きな声で指示(全体の統一感)
- 掛け声をかけながら複数枚撮影する
複数枚とるときは、1枚目とった時点でちょっとだけ間を作って画像を確認しながら「おぉ、良い感じですねぇ」その調子でもう一枚…、褒め口調で進めるといいかもです。褒めながら撮られている人に自信を付けながら撮るのも方法です。
また、天候や背景にも十分配慮しましょう。100人全員がしっかり写るには「全体構図のテスト撮影」が非常に重要です。
ちょっとした工夫でプロっぽく見せるテクニック
- 三脚を使って高さを調整(低すぎると下から見上げる構図になり不自然)
- 掛け声で、まばたきを回避
- 3枚撮ります…など、最初からとる回数を言わないこと
理由は、特に子供が多いんですが、3回ともふざける可能性があるから - 曇天の日は、影が出にくく、意外と撮影に向いている
- 集合写真を「集合スナップ」と捉えて、少しラフに撮るのも今どきらしい仕上がりに
Q&A よくある質問
Q. 少人数でも段差を使った方がいい?
A. はい。段差や椅子を使うだけで画面奥の人も見やすく、構図も自然になります。
Q. 構図が硬くならない工夫は?
A. 三角構図で目線やポーズにも変化をつけることで、柔らかさや立体感が生まれます。
Q. 高いアングルからの撮影にも効果がある?
A. 脚立などを使って少し上の位置から撮ると、全員の顔が見えやすくなりダイナミックな画になります。
まとめ
集合写真のコツを押さえて、みんなが満足する一枚に
集合写真は、撮る前の準備・並びの工夫・カメラの設定、この3点を意識するだけで大きく仕上がりが変わります。
特に、ピントの合い方(絞り)と構図の整理は、写真の完成度を左右する重要ポイントです。
「集合写真って難しい」と感じていた方も、今回ご紹介したコツを一つずつ実践していけば、きっと自信を持って撮影できるようになります。
次回は「小グループ・屋内・低照度でも失敗しない設定と構図づくり」を紹介予定です。しかもライトやストロボの使い方も解説しますので、お楽しみに!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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