今回は野球の写真撮影で、バッターを撮るシャッタータイミングを深掘りしてみようかなと思います。
一言で言うとキリがありません。
どこでシャッターを押すと良い…、などいろいろありますが、間違いではないと思います。
バッターによっても人によって違うし、ボールもスピードによって変わってきます。
ピッチャーの投球には、スローボールからクイック、高速球などがあって、どんなボールを投げてくるか分からない。要は、数打ち当てるのが良かったりします。
撮れる人、撮れない人。撮れる人は「撮れる感性みたいなもの」、持ってるモノが違います。
コツをつかむ方法は色々ありますが、どんな方法が自分に合っているか、見つけてほしいと思います。
この一瞬を撮るタイミングは、素人さんや、アマチュアのカメラマンさんが撮れることもあります。
うらやましいですよね。
はじめに、なぜホームベース上の一瞬が難しいのか
バッター撮影の醍醐味は、「人」「バット」「ボール」の三者がホームベース付近でぴたりと重なり、かつ動きのピーク(インパクトやボール直前)を写し止められたときにやってきます。
でも、実際にはピッチ速度やスイング速度、距離、照度、カメラの反応など複数の要素が絡み合うため、単に速いシャッタースピードにすれば良いだけでは不十分。
以下では「条件を分解」し、それぞれに合わせた具体的テクニックを提示します。

まずは根本:推奨するシャッタースピードとその理由
屋外での一般的なスポーツ撮影では、ブレを抑えるために1/800〜1/2000秒程度が目安になります。
実戦的なアドバイスとして、晴天下の外野やグラウンドでは1/1000〜1/1600秒が止める目安。止めるとは、ブラさずに撮ること。
薄曇りやナイターではISOを上げてでも1/800〜1/1000秒を維持する方が失敗が減ります。
理由(簡潔に)
- バット先端やボールは局所的に非常に速い相対速度になるので、1/500程度ではボケが残ることが多いです。
- 色々撮ってみた結果でも、バットヘッドはスイングの時、100〜145 km/h程度になり、インパクト周辺の短時間(数十ミリ秒)を狙う必要があります。これは通常の動画撮影でも難しいことになります。超スローとか、ウルトラスローなどは、通常のカメラの数倍のシャッターなので出来ています。
※分かりやすく言うと、時速100キロで、自分の目の前を横切る車を撮るようなもの。
高校野球と少年野球で変えるべき考え方
同じバッター撮影でも、被写体のスピードや打法が違うことがあります。ここでは実践的にどう対応するかを説明します。
高校野球(速い球・速いスイング)
- 平均ピッチ速度やスイング速度が高く、インパクト周辺の時間窓が短い。可能なら1/1000〜1/2000秒を基本に。特にプロや甲子園クラスになると速球が140km/h前後に達することがあるので、被写体の動きは極めて速い。
- カメラはAF-C(コンティニュアスAF)+高密度AFエリアを基本。私が持っているD3sのような高速連写が出来るカメラはDXで11fpsを活かして、インパクト直前〜直後を幅広く切り出す。機材性能(連写枚数、AF追従)を最大限使う。
少年野球(遅めの球・幅のあるスイング)
- 球速が低くスイングにも個人差が大きい。シャッタースピードは1/800〜1/1250秒から試し、表現としては1/500〜1/800で動きの残る躍動感を残す選択もアリ。
- 少年はフォームのブレや上下動が出やすいので、背景との距離感・被写界深度(F値)を調整してピントヒット率を上げる。開放寄り(F2.8〜F4)で主被写体を引き立てながら、少し絞って被写界深度を稼ぐ判断が有効で楽かと思います。
実戦テク:ホームベース上で三者を揃えるためのタイミング
ここが重要。具体的な行動順で書きます。
ポジション取り(優先度:高)
- バッターの斜め45°〜正面寄り(バッターボックスの外側)から狙うとバット・ボール・選手の重なりが分かりやすい。左打者なら一塁側の内野寄り、右打者なら三塁側の内野寄りに陣取る。ホームベースとファインダーの位置関係を最初に決める。
- カメラとバッターの距離は被写界深度確保と背景圧縮のバランス。中望遠(70–200mm)で表現しやすい。
AFとシャッターモードの設定(優先度:最高)
- モード:シャッター優先(Tv) または マニュアル(M)。外光が安定しているならTvでシャッターを固定。
- シャッタースピード: 高校=1/1000〜1/2000、少年=1/800〜1/1250(状況で調整)。
- AFモード:AF-C(コンティニュアス)。AFエリアは「ダイナミック」や「ゾーン」タイプで、バッターの顔付近/胸付近を追わせる。
- 連写:CH(高速連写)。D3s系ならDXで11fpsが使える場面は強い武器。
トリガーのタイミング(運用ルール)
撮り方は2つの戦術に分かれます。どちらか、あるいは両方を状況に合わせて使う。
A:音(投球音/バット音)を起点にする聴覚トリガー
- バット音(バシッという当たり音)を聞いてからシャッターを切るより、バットが入る前の一瞬(インパクト前約0–50ms)を想定して、投手のリリースかバッターの初動で半押し→完全押しする運用が確実。
投手リリースからバッターのインパクトまでの時間はピッチ速度で変わるので、事前に観察して自分なりの感覚を作る。
B:予測+幅で撮るバースト幅確保
- 高速連写でインパクト前後をまとめて連写する。
例えばインパクトがフレームの5コマ目になれば、その前後2〜3コマずつを含めて切り出せる。私が使っているD3sのように11fpsが出せるなら、インパクト瞬間を含む範囲を撮れる確率が劇的に上がる。
構図の工夫(揃って見えるための視覚トリック)
- ホームベース中心にバットが斜めに入る瞬間を狙うと、バット先端とボールが被らず画面上の線がきれいに見える。
- ボールを入れたいなら、露出は暗めより明るめに振って、ハイライトでボールのテクスチャ(白さ)を活かす。
背景の白っぽい広告やネットがあるとボールが埋もれるので注意。
ピッチャーを撮るにも色々共通したものがありますので、こちらの記事も参考になると思います。
機材別のワンポイント(Nikon D3s を例に)
- D3sはFXで9fps、DXで11fpsといった高連写が強み。
DXで連写中にAF/測光方式が制限される場合があるので、実戦ではDX11fpsで幅を稼ぐか、FXでAF精度を優先するかを場面で選ぶ。 - シャッターレスポンスやラグは古い機種でも慣れでカバー可能。半押しでAFを追い、投手のリリースを合図に指を動かすルーチンを作ること。
よくある失敗と改善策(私の現場ノート)
- ボールが見切れている/バット先だけ写っている
→ ポジションが悪いか、ズーム不足。もう1歩内野寄り(または外野寄り)に動いて被写界深度とフレーミングを調整。 - 顔にピントが来ていない(ピントがバットや手に行く)
→ AFエリアの位置を顔近くに設定。バックボタンAFでピントホールド→被写体追尾を維持。 - 連写でインパクトが必ず1コマしか写らない
→ シャッタースピードを更に上げる、またはバーストの発射タイミングを投手リリースより早めにする。被写体の動きの短いウィンドウをバーストでカバーするイメージを持つと良い。
撮影チェックリスト(現場で1分で確認)
- シャッタースピード設定(高校:1/1000〜1/2000、少年:1/800〜1/1250)
- AF-C、ダイナミック/ゾーン、AFエリアを顔近くにセット
- 連写CH(最大fps)にセット(D3sなら状況に応じてFX/ DX選択)。
- ISO/AWB確認(ナイターならISO上げる)
- ポジション(左打者/右打者に応じ内外どちらに立つか)
- レンズ手ブレ補正OFFが無難。(手持ちブレはシャッタースピードで制御する方が安定)
深掘りのまとめ。成功確率を高める本質的アプローチ
速いシャッタースピードは重要ですが、それ以上にポジション取り・AFの狙い所・バースト運用の設計(いつから連写を始めるか)が成功確率を左右します。
高校野球の速いスイングには1/1000〜を基準に、少年野球ならスピードに合わせて1/800〜1/1250で表現の幅を持たせる。
機材の強み(D3sなら高fps)を戦術に組み込み、投手リリース→バッター初動→インパクトまでの時間感覚を現場で掴むことが最短の上達する方法です。
バッターを撮るためのシャッタータイミングは、こちらの動画でも詳しく説明していますので是非ご覧ください。

参考・補足(今回調べた要点)
- 実務的なシャッタースピードの目安とその理由(1/800〜1/2000)。
- Nikon D3sの連写性能(FX 9fps、DXで約11fps)。機材運用に合わせてFX/DXを切り替える利点。
- バットヘッド速度やスイングのキネマティクス(研究論文での計測例)。
- 少年の平均的な投球速度の目安(実戦的レンジ)。
少し深掘りした記事、最後までご覧いただきありがとうございました。
ご意見ご質問等がございましたら、お待ちしています。



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