ここまで、フォーカスや被写界深度、ナイターの話をしてきました。
で、避けて通れないのが「絞り値」。
正直に言うと、野球のビデオ撮影では絞りは常に悩みどころですよね。
明るさの確保。
被写界深度の確保。
そして背景の整理。
特にナイターでは、どうしても開け気味になります。
ここで、白黒表示との関係がはっきり出てきます。
絞りを開けると何が起きるか
当たり前の話ですが、絞りを開ければ被写界深度は浅くなります。
ピントの芯が薄くなります。
少し前後にズレるだけで、すぐ甘くなる。
野球は被写体が常に前後しますから、この薄いピント面を追い続けることになります。
ここでカラー表示だと、少し甘くても色の情報でそれなりに見えてしまうことがあります。
芝の緑。
ユニフォームの色。
照明の雰囲気。
なんとなく締まって見える。
でも実際には、芯から外れている。
白黒はその誤魔化しが効きません。
開放付近では特に、合っている部分だけがスッと浮く。
だから薄いピント面が分かりやすい。
少し絞ったときの安心感
逆に、ほんの少し絞るだけで被写界深度は少し厚くなります。
このとき白黒表示だと、前ボケから後ボケへの変化がなだらかに見えます。
どこまでが許容範囲か、目で分かる。
カラーだと、色の強さが邪魔をして、その境目が曖昧になることがあります。
白黒は明暗の変化だけなので、ボケの移り変わりが素直に見える。
だから絞りを変えたときの効きが体感しやすい。
これは意外と大きいです。
ナイターで差が広がる理由
ナイターでは光量が足りない分、開放に近づきます。
被写界深度はさらに浅くなる。
つまり、絞りの影響が大きく出る環境です。
カラー表示は照明の色温度や反射光の影響も受けます。
画面全体が派手になります。
白黒は静かです。
明るさの変化とコントラストだけ。
だから「今どれくらい薄いか」が分かる。
薄いピント面を扱うときほど、白黒の良さが出ます。
絞りと白黒は相性がいいというより
ここまで書いてきましたが、
白黒が特別優れているというよりも、
絞りの変化を素直に見せてくれるのが白黒、という感じです。
色がない分、誤魔化しがない。
開ければシビアに見える。
絞れば安定して見える。
そのまま映る。
だから判断がしやすい。
結局は…
野球のビデオ撮影は、動きと距離の連続です。
その中で絞り値は、被写界深度という保険をどうかけるかの選択です。
白黒表示は、その保険の効き具合を正直に見せてくれる。
だから相性がいい。
古いからではありません。
合理的だから残っている。
もし機会があれば、ナイターで一度、開放気味の状態を白黒で覗いてみてください。
「あ、今ここが芯だな」
その感覚、きっと分かると思います。



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