野球撮影を始めた頃、私はずっと悩んでいました。
「シャッタースピードって、結局いくつが正解なんだろう。」
ネットを見ても、1/2000がいいとか、1/4000が安心とか、いろいろ書いてあります。
でも、いざグラウンドに立つと、そんな単純な話じゃないんですね。
今日は、私が小学生から社会人野球まで撮ってきた中で、ずっと考え続けてきたシャッタースピードの話を、書いてみようと思います。
小学生は1/1000秒から考える
晴れている日の小学生の試合。
私はだいたい1/1000秒からスタートします。
理由は、まずは止めたいから。
でも正直に言うと、1/1000でも少しブレることはあります。
特にバットの先端や走塁中の足。
それでも、私はいきなり1/2000にはしません。
なぜかというと、少しのブレは悪くないから。
写真って、止まりすぎると「標本」みたいになることがあります。
少しだけ動きが残っていると、グラウンドの空気が出る。
ただし、
注文写真になると話は別です。
後日、A4やA3に引き伸ばした時に、「ブレてますね」と言われたくない。
だからまずは止める基準から考える。
そこから下げるかどうかを判断します。
中学生以上は1/2000秒が安心
中学生になると、明らかにスピードが変わります。
スイングも速いし、ボールも速い。
このあたりから私は1/2000秒を目安にします。
ピッチャーの腕のしなり、バットとボールのインパクト。
きちんと止めたいなら、ここは欲しい。
ただ、1/2000以上にすると、今度は「止まりすぎる」こともあります。
最近はミラーレスで秒間60コマ以上撮れる時代。ほぼ動画です。
バット、ボール、顔、全部ピタッと止まった写真は誰でも撮れます。
でも、それが一番いい写真かというと、そうでもない。
私は今でも、少しだけ躍動感が残る写真が好きです。
これは完全に好みになります。
室内ドームは意外と難しい
「室内は暗いですよね?」とよく言われます。
確かに暗い球場もあります。
でも、天井がある分、光が安定している球場も多いです。
私は試合前に必ずテストします。
だいたい1/3000〜1/4000秒。
球場によっては8000以上まで上げることもあります。
このー試合前のテストをやらないと怖いんですよね。
試合が始まってから設定をいじる余裕なんてありません。
特にトーナメント戦は一瞬で終わります。
野外ナイターは本当に大変
ナイターは、上が真っ暗です。
光が逃げます。
室内よりも条件が悪いことが多いです。
選手との距離がある場面。
200-500mmでズームして撮る。
その瞬間、ISOが一気に上げないといけない。
私は12600まで上げることもあります。
ここでよく聞かれます。
「ISOそんなに上げて大丈夫ですか?」
正直、気になります。
でも、撮れないよりはいい。
ただし、
自分のカメラがどこまで耐えられるかを知っているから、上げられるんですよね。
L判なら気にならないノイズも、A3や半切でははっきり出ます。
私は仕事で注文が来るので、そこを常に考えています。
ISOは上げればいいわけじゃない。
カメラの性能と、出力サイズと、用途。
全部のバランスです。
スポーツモードは悪じゃない
私は基本的に使いません。
理由は単純で、自分の撮りたい写真になりにくいから。
でも、初心者の方にはおすすめすることもあります。
一度スポーツモードで撮ってみる。
そして、そのときカメラがどんなシャッタースピードにしているのかを見る。
それは勉強になります。
私も最初からスポーツモードを使わなかったわけではありません。
便利でもあり、不便でもある。
そんな機能です。
AF-Cは万能じゃない
シャッター半押しで追従してくれるAF-C。
野球撮影ではほぼ必須と思われがちです。
でも、これもレンズ性能に左右されます。
フォーカスが遅いと、いい瞬間で合わない。
特に望遠でズームしたとき。
「追従しているから大丈夫」と思っていると、肝心な瞬間で抜けます。
レンズの限界も理解しておく必要があります。
1試合で20人撮るということ
私は1試合で最低でもベンチ入り20人は撮ります。
ベンチ入り選手を全員撮る。じつはムズイ…。
勝てば次がありますが、負ければ終わり。
撮り残しは許されません。
だからメンバー表を見ながら撮ります。
全員がグラウンドで試合をする訳でもないから、2〜3人まとめて撮ることもあります。
実はこれが一番プレッシャーです。
シャッタースピードより、こっちのほうが精神的にきついかもしれません。
結局、シャッタースピードの正解は?
正解はありません。
でも目安はあります。
小学生なら1/1000から。
中学生以上は1/2000から。
ドームなら3000〜4000でテスト。
ナイターはISOとの相談。
ISOはオートにすると便利だけど、とてつもなく上がるときがあるので要注意。
ISOは、自分の写真に合わせて動かしていく。
それだけです。
野球撮影は機材勝負のように見えますが、実際は現場の判断の積み重ねだと思っています。
完璧な設定はありません。
でも、自分の基準を持つことはできます。
まずは1/1000秒から。
そこから、自分の答えを探してみてください。



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