私は普段、野球の試合を撮影し、その映像を編集する仕事をしています。
試合が始まる前、画面に「対戦カード」を表示するテロップを入れるのですが、先日、こんな指摘を受けました。
「バーサスって、“vs.“が正解じゃないの?」
一瞬、ドキッとしました。ご指摘が来ました!
言われてみれば、英語の世界では「Dr.」や「Mr.」など、省略形にはピリオドがつくのが基本ルール。
じゃあ「vs」も、ピリオドありの「vs.」が本来は正しい…?
ごもっともです…
普段は誤字や脱字には細心の注意を払って、必ず自分以外の人にも見てもらうという、弊社にはそんな習慣があります。
普段、あまり深く考えずに「vs」と表記していた私は、急に不安になりました。
正直、校閲や監修なんかも予算が無いので出来ませんし。
この疑問がきっかけで、社内スタッフとミーティングを開くことに。
映像テロップで「vs」に違和感を覚えるのは、いまどき視聴者の感受性が磨かれている証拠かもしれません。
ミーティングスタッフの目の色が変わったのを覚えています。
「vs.が正解じゃなかったの?」という現場での一言が、この悩みの出発点。
この記事では、制作現場で“本当に伝わりやすい表記”を選ぶための議論と結論を、私たちの体験とともにご紹介します。

実際に出た案は?
ミーティングで出た案を整理すると、次のようになりました。
- 〇〇 vs 〇〇
- 〇〇 vs. 〇〇
- 〇〇 対 〇〇(漢字表記)
- 〇〇 × 〇〇(バツ印)
- 〇〇-〇〇(ハイフン)
それぞれ、スタッフ間でも好みや意見が割れました。
vs
→スポーツでよく見るし、なじみがある。けれど、正式ルールを考えるとピリオドが必要かも。
vs.
→本来はこちらが正しい。ただ、ピリオドが小さくて見にくいという意見も。ただ、実際にテレビでも使われてるし…。
対
→日本語らしくて分かりやすい。でも硬すぎる印象もあり、若い層向けにはちょっと重たく感じるかも。古く感じる。
×
→シンプルでスタイリッシュ。試合開始のワクワク感にもマッチする。ただ、格闘技っぽいイメージが強いという意見も。
-(ハイフン)
→無難だけど、引き分けや並列の意味に見えるので、対戦の臨場感が出しにくい。
なぜ「×」を選んだのか
最終的に、私たちは「〇〇×〇〇」の表記を選びました
その理由は大きく3つあります。
- ビジュアルのバランスがいい
「vs.」だとピリオドの位置で少しガタつき感が出るんですが、実際にワールドカップでも使われしたし。でも「×」は一文字だし中央で均等に収まります。
スポーツ映像に限らず、テロップは見た目の安定感やバランスがとても大事。 - 感覚的に伝わりやすい
格闘技やスポーツなどでも「〇〇×〇〇」表記は多く使われており、若い世代にも違和感がありません。
逆に勝負のイメージが直感的に伝わる気がします。 - 日本語と英語のバランス
某テレビ局の制作スタッフ曰く…
日本のスポーツシーンでは、「vs」や「対」が混在して使われていて、その中でも「×」は、日本独自のアレンジ表現として定着してきているんだそうで、むしろ自然に受け入れられる流れに現在はなっていると心理的にそう思うと言っていました。
確かに…
実は、プロのスポーツ中継でも「〇〇×〇〇」の表記をよく見かけるようになっている感じですよね。
たとえば、ボクシング、総合格闘技、スポーツ大会、さらには一部プロ野球関連の特番などでも、「×」表記は増えています。制作側でも安易に使ってはいないと思いますが、監修付きでそれなりに調べてると思います。
校閲を仕事にしている人にも聞いてみたんですが、スポーツは良いんじゃないかなと…、でも相撲はどうかな…
結構意味深なのかもしれませんね。
でも、日本の視聴者にとって一番わかりやすい表現を選んだ結果だと弊社一同はそう思います。野球の試合をDVDやBlu-rayにして納品後にご指摘が来なければ…
深掘り:そもそも「vs」とは?
後味もよくないので、いろいろ調べてみました。
この「vs(versus)」は、ラテン語が語源で「向かい合う」という意味があると書かれていて、英語圏では法律文書やスポーツの公式表記などでよく使われるそうで、フォーマルな場では「vs.」とピリオドを付けるのが正しいとありました。
そういわれればテニスもピリオドでした。
現代英語では、タイトルや見出しはカジュアルな場面では「vs」とピリオドを付けなくてもよさそうです。
厳密なルールよりも「わかりやすさ」が優先される考え方が現在らしい。
つまり、「vs」と「vs.」はどちらも間違いではないけれど、場面に応じて使い分けるのがポイントという結論になりました。
あとは好み(笑) すき好きです!
Q&A よくある疑問
Q. 国際試合や海外向け配信では「×」でも使われますか?
A. 海外では「vs.」が一般的ですが、日本の制作現場では「×」も視覚的に伝わりやすく、スタイリッシュさ重視で使われることがあります。
Q. SNSやハイライト動画ではどう表記すべき?
A. 小さめの画面では「×」のシンプルさが効果的です。文字が小さくなる環境ほど、視認性の高い表記が重要になります。
ちなみに、テロップデザインの背景にある「視認性を高める工夫」は、こちらの記事にも詳しくまとめています。【野球ビデオにBSOカウントを入れる方法】などをご確認ください。
結論
今回の議論から、改めて実感したことがあって、それは、「正しい表記」よりも、「伝わりやすい表現」を優先することの大切さ。
テロップはあくまで映像を引き立て、視聴者に情報をわかりやすく伝えるためのもので、堅苦しいルールに縛られるよりも、「この表現が一番伝わる」と自信を持って選んだ方が、結果的に良い映像につながるんじゃないかなと。
今後も、こうした細かい部分にこだわりながら、より良い映像作りを目指していきたいと思います。
あなたはどの表記が「直感的に伝わる」と感じますか?
コメント欄でぜひご意見をお待ちしています!




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