はじめに
撮影の現場で、露出(明るさ)の決まり方に大きく影響するのが 測光モード です。
でもこの測光モード、名前だけ見るとちょっと難しそうに感じるんですよね。
- マルチ測光って結局なに?
- 中央重点っていつ使うの?
- スポットは上級者向け?
とくに初心者のうちは、どれを選べばいいのか分からず
「結局いつもマルチ測光…」
という人がほとんどです。

結論からいうと、プロの現場でも 8割はマルチ測光。
ただし、残りの2割を切り替えるタイミングを知っているかどうかで、
写真の安定感が大きく変わります。
今回の記事は、
設定の知識ではなく判断のコツ
に重点を置いて、現場で本当に役立つ考え方だけをまとめています。
測光モードってそもそも何をしているの?
とてもシンプルに言うと、
「画面のどこを基準に、明るさ(露出)を決めるか」
を選ぶ機能。
測光モードは主にこの3つ。
マルチ測光(評価/多分割測光)
画面全体を見て、カメラが総合的に判断してくれる。
→ いちばん万能。
→ 初心者〜プロまで一番使う。
中央部重点測光
中央部分を強めに、周辺は弱めに測光。
→ 人物撮影に強い。
→ 安定性が高い。
スポット測光
ほんの一点のみで露出を決める。
→ 狙いが明確な撮影向け。
→ 使いこなすと最強。
この3つのどこを見るかの違いを理解しておくだけでも、失敗はかなり減ります。
実際にやっている測光モードの判断
測光モードは、露出補正と違って「頻繁に変える設定」ではないです。
むしろ、判断さえ身につけばほとんど迷わずに済む分野。
現場カメラマンが判断しているポイントは、次の3つだけ。
まずは基本:迷ったらマルチ測光
現場でスタッフに最初に教えるのは、
「マルチ測光でほとんどいける」
という事実。
理由はとても簡単で、
- カメラの測光技術は年々進化している
- 逆光でも状況判断できるようになっている
- 初心者が無理に他のモードを使う方が失敗しやすい
といった背景があります。
実際、僕自身もロケ撮影の8割はマルチ測光です。
ただし万能ではないため、次の2つの条件を満たすときにモードを切り替えます。
人物を撮る時は中央部重点が安定する
人物撮影で特に大事なのは、
「顔の明るさが適正かどうか」。
そして、顔はだいたい画面の中心付近に配置しますよね。
この顔中心の構図が想定されているのが 中央部重点測光 です。

どんな時に使う?
- ポートレート
- 記念写真
- 七五三や成人式のような人物中心の撮影
- 中望遠(85mm前後)のポートレート
なぜ安定する?
中央部だけを重点的に見てくれるため、
背景がどんなに明るくても暗くても、
人物の明るさが安定するから。
逆光気味のポートレートでも、
マルチより補正幅が小さくて済む場合があります。
狙いが一点に集中している時はスポット測光が良いかも
スポット測光は、
画面の中の数%だけを見て露出を決める モード。
これがハマると非常に強力です。
どんな時に使う?
- 逆光のシルエットで、人物の顔だけ明るくしたい
- 舞台・コンサートで、ライトが当たった人物だけを基準にしたい
- 白い服(花嫁)と黒いスーツ(花婿)が並ぶ難しい状況
- 雪山や海のハイライトだけを基準にしたい
- 夜の街灯やイルミネーションで明るい部分を基準にしたい
スポット測光の魅力
とにかく 「狙った場所が明るさの基準」 になること。
どれだけ背景が暗かろうが、
どれだけライトが強かろうが、
あなたが選んだその一点の露出が基準になります。
これはマルチ測光では到底できない芸当で、
表現力の幅が一気に広がるモード。
現場カメラマンがよくやる「測光モード × シーン別の判断」
もう少し具体的に、シーン別にまとめてみます。
人物(屋外)
→ 中央部重点
背景の影響を受けにくい。
人物(室内・逆光気味)
→ 中央部重点 + プラス補正
顔が暗くならないように。
景色(風景撮影)
→ マルチ測光
背景の明るさを含めて全体的に決めてくれる。
逆光の人物シルエット
→ スポット測光(背景に当てる)
背景の明るさを基準にして人物を黒く落とす。
商品撮影
→ マルチ測光 or 中央部重点
被写体が中心に置かれるので安定。
コンサート・舞台
→ スポット測光
ライトが当たった人物の部分を基準にする。
雪景色
→ マルチ測光+プラス補正
白は暗く写るので、明るめに調整。
(スポットにすると難易度が一気に上がる)
こうして見ると、測光モードの切り替えは
「狙いがどこにあるか」で決まっているだけなんですよね。
現場カメラマンが現場でやっている超シンプル判断まとめ
最後に、実際に現場で僕がスタッフへ教えている判断基準をまとめます。
基本はマルチ測光
(8割はこれでOK)
人物中心 → 中央部重点
(顔を基準にしたい時)
狙って明るさを決めたい → スポット測光
(舞台・逆光・一部の表現)
測光モードは頻繁に変えない
(シーンごとの判断さえ覚えればOK)
測光モードは難しい知識ではなく、
「今、自分はどこを基準にしたい?」
というシンプルな考え方で決めるものです。
おわりに
写真って、おもしろいことに
「技術」よりも「判断」が仕上がりを左右します。
測光モードも同じで、
設定を全部覚える必要はありません。
- どこを見て明るさを決めたいのか
- 今は人物なのか、背景なのか
- 狙った一点を基準にしたいのか
この3つだけ判断できれば、
測光モードはもう十分使いこなせています。
自分の判断が、自分の写真を作ります。
上手い/下手で評価する必要はありません。
自分の写真は自分の判断でできている
これが一番大事なことです。



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