正直に言うと、
時代の流れだけ見れば「カラーで十分」なんだと思います。
解像度は上がり、モニターは高精細になり、
ピーキングも進化しました。
わざわざ白黒にする理由なんて、ないように見えます。
でも現場に立つと、少し違う景色が見えます。
技術が進歩しても、山は自分で掴む
どれだけカメラが賢くなっても、
フォーカスリングを回すのは人間です。
野球の打席。
ピッチャーが振りかぶる。
その瞬間、山をどこで止めるか。
これは補助機能ではなく、感覚の話になります。
白黒は、その感覚を磨くための表示。
便利ではありません。
でも、余計なものがない。
だから、芯だけが見える。
この「芯を見る力」は、機材が変わっても消えません。
ナイターで分かる、本当の差
昼間は正直、どちらでも撮れます。
でもナイター。
照明ムラ、暗部ノイズ、背景の看板。
情報が多いようで、実は見づらい。
カラーだと色のコントラストに目が引っ張られます。
白黒だと、明暗の締まりだけが残る。
この差は、経験すると戻れなくなります。
だからベテランほど残している。
懐かしいからではなく、合理的だから。
若手育成という視点
もうひとつ。
育成という観点で見ると、白黒はまだ価値があります。
最初から全部アシスト付きで覚えると、
応用が効きにくい。
一度、自分の目で山を掴む経験をすると、
カラーに戻しても崩れません。
これは実際にやってみると分かります。
白黒を付けた若手が「撮りやすい」と言い出す瞬間。
あれは気のせいではありません。
目の使い方が変わっている証拠だと思う。
では、消えていくのか?
数は減ると思います。
間違いなく主流はカラーです。
でも完全に消えるかというと、たぶん消えません。
スポーツや報道のように、
一瞬を確実に押さえる現場がある限り。
「見やすい」よりも「掴みやすい」が優先される場所では、
白黒の価値は残ると思います。
古いのではなく、選択肢
白黒ビューファインダーは、
時代遅れの装備ではありません。
ひとつの思想です。
余計な情報を削り、
フォーカスという一点に集中する。
それを良しとするかどうか。
それだけの話。
カラーが進化しても、
白黒が消えない理由はそこにあります。


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